今ではいろんな人が知っているであろう「ブラック企業」ですが、そもそもどんな企業がブラック企業なのだろうか?仕事を探している方ならば自分が入社しようとしている会社がブラック企業だったらどうしよう……と不安になったりしますよね。
あるいは幸運にもホワイト企業にずっと勤め続けている方は「ブラック企業って都市伝説じゃない?そんな会社が本当にあったら即訴えられて潰れるでしょ」と思ってしまうかもしれません。
そこで今回は何社もブラック企業を渡ってきた私が「ブラック企業とはどんな企業か」「どうすればブラック企業を避けられるか」ということを紹介していきます。
ブラック企業の定義とは
以下のこれらに1つでも当てはまれば、ブラック企業と呼んで差し支えないでしょう。
- 法律など顧みない、ただただ利益のみを求める会社
- 従業員の権利を無視し、潰れるまで搾取を繰り返す会社
- 経営者が経営者であり続けるためにあらゆるものを犠牲にする会社
「じゃあ具体的にどういうところなの?」と考えると思います。なので、次から具体的なブラック企業の特徴を書きます。
ブラックな企業の特徴
従業員の負担など考えず、ひたすら利益を求める
ブラック企業の経営者が追い求めるのは何よりも「利益」です。
もちろん企業である以上利益を求めるのは当たり前なのですが、ブラック企業の場合はそれが常軌を逸しています。
同業他社に対して確実に安い基本給と少ない休日、それらに釣り合わない明らかに過大なノルマや膨大な仕事量を入社してすぐに押し付けられます。
当然のように長時間残業や休日出勤を命じたり、さらにはそれに対しての対価(残業代や手当など)すらまともに支払われない会社すら珍しくありません。
経営者の権限は絶大、そして命令は絶対
ブラック企業において経営者は絶対的な存在です。
まっとうな企業なら業務内容に関して上司に意見したり改善を提案したりすることはあるでしょうが、ブラック企業において経営者に逆らうことは許されません。
少しでも社員の仕事や言動が気に食わないと他の社員がいる前でも激しく叱責する。どのような無茶な指示でも「イエス」以外の返答をすればやっぱり叱責されてしまいます。
恐ろしいのはそれが経営者の気分次第で行われる可能性もあることです。
コンプライアンスの意識がない
ブラック企業は、コンプライアンスの意識が欠如しています。
セクハラやモラハラといったハラスメントは当然のように存在しますし、それ以前にハラスメントとは何か?ということすらわかってなかったりします。
労働基準法完全無視で社員の給料や待遇をいきなり変更します。
さらに会社の業務上知っておかなければならないはずの法的知識なども全く知らないなど、根本的に「法律を守らなければならない」という意識が上層部に存在していないことの証ですね。
経営者やその近くにいる人間は責任を取らない
ブラック企業の経営者は根本的に無責任です。
皆さんも不祥事の起きた大企業で経営陣が一斉に頭を下げている映像や動画を観たことがありますよね。
普通ならばそうなると経営陣も減給や引責辞任など、程度に応じたペナルティを負うのですが、ブラック企業ではそんなことはまずありません。
- 取引先とトラブルが起きる
- 重大な犯罪が起きる
- 会社の内外で大事故を起きる
仮にそれらの指示が経営者からのものであっても現場の責任者やミスを犯した当人のみに責任を負わせ、何事もなかったかのように業務を続けるのです。
上司がまともでなければブラック企業になる
経営者が上記なことに該当なくても、上司にあたる人物がそれらの行動を取れば部下にとってはブラック企業です。
そういったブラック上司はさらに上の人間(経営トップ)には上手く取り入ったりと、自己評価せず、平気で部下を足蹴りします。
ブラック上司の本質に会社が気付くことがないまま部下をどんどん潰していくのです。
ブラック企業の事例
ブラック企業の特徴が分かったと思います。ここからは実際に勤めたブラック企業の体験談を交えて書いていきます。
私が社会人として初めて勤めた企業は、社員数は多くないものの地元でいくつかチェーン店のある眼鏡店で5年ほど勤務しました。
今となっては疑いようのないブラック企業でした。
当時はブラック企業という言葉もまだなく、社会人経験も浅かったのでこれから挙げていく会社のおかしさも入社数年経つまで気付きませんでした。具体的には…
休日は月6日で固定、体調不良や冠婚葬祭も含まれる
ただでさえ少ない休日に「有休はうちにはない」というスタンスだったので理由を問わず仕事を休んだ場合は以降の休みが減る仕組みでした。
1か月くらい病気で入院した人(違う店舗の店長でした)がいましたが、退院後に半年も無休で仕事をしていたほどです。
サービス残業や無給の休日出勤は完備
接客業にはありがちと言えばそうですが、残業代という概念が存在していませんでした。
そして毎月月末には数日がかりで商品の棚卸を店舗ごとに店員総出で行う必要があり、なぜか「閉店後にやらなければならない」「月末の休日は棚卸があるので終了しない限りは出勤しなければならない」という暗黙の了解まで存在しました。
何を意味するかと言えば、月末1週間は深夜まで及ぶサービス残業と休日は無給での出勤が確定するということです。
給料は社長から直接手渡しの上、遅配もよくある
現在でも手渡しの企業はありますから、それ自体は問題ではありません。
給料日は月末締めの翌月15日払いだったのですが、この会社は土日祝日を挟むとその分遅れるうえ、給料の遅配もよくあったのです。
給料自体も安く、平社員は絶対に昇給できない
販売が仕事なので売上で評価されるのはわかります。しかしここでは「ノルマを大幅に超える売り上げを数か月続けて出す」ことが昇給には必要でした。
店長の席が空くか新店舗がオープンしない限りチャンスは来ません。
そして平社員の月給はサービス残業を含めなくても当時の地元の最低賃金を割っていました。冗談抜きでパートやバイトの方がマシです。
それでも会社の雰囲気には徐々に慣れ始めてきたのですが、入社半年ほどで別店舗への異動を命じられました。私にとってのブラックな試練はここからだったのです。
ブラック上司の特徴
それでは、ここからブラック上司の特徴を体験談を元に4つ説明します。
部下の行動全てが自分の思い通りにならなければ気が済まない
ブラック上司は、自分の思い通りに行かないと気が済まない。
例えば自分が思っていた流れや言葉が一言一句でも違えば終了後に「さっきは何で○○と言わなかった」と長時間の説教が始まります。
次の客や電話が来るまでは治まらず、1日にこれが何度でもループします。
言葉選びや動き方もその時によって微妙に変わったりするので、店長のトークや癖を覚えて回避するのも不可能ですよね。
営業時間終了後も一向に帰る気配を見せない
次に業務時間が過ぎても一向に帰らない。
その上司は、営業時間が終わっても帰らないどころか閉店準備すら始めようとせず、裏でのんびり漫画を読んだりしていました。
閉店準備を終わらせた私が帰ろうとすると「そんなに急いで帰らなくていいだろう。ゆっくりしようや」と帰るのも引き留めてきました。
ここで強引に帰ろうとするとその日の説教を蒸し返して叱責が始まり、帰宅は23時以降が常態化(業務帰宅時間は20時)していました。
社長の言葉は正しいと信じている
3つ目は、社長は信じてきっていることです。
これも後で知ったのですが、このパワハラ店長は社長の側近的立場で、社長自らが言いにくいことはこの人に言わせていました。
「昇給して会社が潰れたらお前に責任取れる?」「会社は社長以外いなくても何とかなるんだからお前が辞めても俺はいいんだぞ」と社長に代わって、社員にプレッシャーをかけ続けていたのです。
自分が被害者というスタンス
最後は、ブラック上司の特徴は自分も被害者という思考です。
上司が部下を叱咤する時
- 叱るのは自分もつらい
- それを見ている周りもつらいから俺は言う
- 叱り続ける私も周りから責められる
「自分も仕方なくやっている」と被害者面することが多いです。
ブラック企業に就職しない
ここからブラック企業に就職しないために求人や面接で判断できそうなブラック企業のサインをお伝えします。
面接や採用までのテンポが早過ぎる
ブラック企業は基本的に万年人材不足なので、常に人材を探しています。
ですので、電話してすぐ「面接いつ来れる?」となりますし、面接の後も採用ならば「明日から来れる?」などと聞いてきます。
要は、入社してくれれば誰でもいいということです。
会社のSNSが全然更新されていない
今では多くの企業が会社のブログやSNSを所有しており、定期的に情報を発信しています。
しかし、何か月も更新されていない。または業務に関係ない内容ばかり発信しているなどは要注意です。
経営者や周辺の誰かが個人的に利用している可能性があります。
営業時間外なのに日常的に明かりが点いている
勤務時間外に、職場の明かりが点いていたらブラック企業を疑いましょう。
さらに日常的ならば「毎日遅くまで誰かが働いている」という証明になります。
ですので、会社を見に行ける距離ならば、何度か試してみることをおすすめします。
面接時の面接官や経営者の言動がおかしい
ブラック企業の面接は違和感があります。
例えば
- 面接官が遅れてくる
- 態度が大柄
- 履歴書や職務経歴書を明らかに読んでいない
- 質問が「応募者の思想信条」や「家族構成」「結婚、出産の経歴」
など上記のような傾向が見られたら注意が必要です。
社員の雰囲気がくたびれている
面接時または職場見学などをさせてもらった際に、社員の顔色が良くなかったり、疲れ切っていたら要注意です。
目を合わせて睨まれるようであれば、もしかしたら「こんな会社に入ってはいけない」という無言のメッセージかもしれません。
求人情報と面接、実際に雇用される時の条件が違う
求人情報に書かれている情報と雇用される時の条件が違うのも要注意です。
例えば、「月給25万・残業なし・完全週休2日」と記載されているのに、面接時に「最初は月給20万だから」「残業はみんな毎日やってるから」「土曜はみんな出勤しているから」と記載と異なる場合。
社員に不利な条件を押し付ける会社なので気をつけましょう。
まとめ
以上で、ブラック企業について書いてきました。
- ブラック企業は従業員を潰す企業
- 必ずブラック企業にはサインがある
- できる限り下調べをする
それでももし間違って入社してしまったらすぐに辞める。
何か胡散臭いものを感じたらすぐに家族や知人に相談するなどして変だと感じたらすぐに退社して下さい。
会社は他にいくらでもあります。あなたのやりたいことや稼ぎたい仕事は他の会社でもできます。何より自分の身を大事にして下さい。
ブラック企業がどれだけ危ないか少しでもわかっていただけたら幸いです。
みなさんは入社する企業はしっかり選びましょう!