自分が勤めている会社がブラック企業に変わってしまう。これは多くの会社勤めの方が最も恐れることの一つではないでしょうか。
まして今までがホワイト企業だったならば、その落差はより激しいものとなります。
とは言ってもどんな企業であれ、ある日突然ブラック企業になってしまうわけではありません。
必ず何かきっかけがあるはずなのです。
そこで今回の記事では、ホワイト企業がブラック企業に変わってしまうサインとその見極め方をお伝えしたいと思います。
会社がブラック企業に変わるとこうなる4つの特徴
まずはホワイト企業がブラック企業に変わってしまうと社内にどんな変化が生まれてしまうのか。
4つに分けて説明します。
1.給与がガタ落ちする
多くのホワイト企業の魅力の一つとして整った給与制度がありますが、ブラックになってしまうとこれらは瞬く間に無意味なものに変わります。
何のアナウンスもないままボーナスが廃止されたり、説明もなく残業代や休日出勤の手当を減額したり不支給にしたりします。
残業代などが支給されても基本給や職務手当がなぜか削られていたりと、会社が社員をコストカットの対象としてしか見なくなるのです。
2.今までのようには休めなくなる
ホワイト企業のもう一つの魅力である休日の多さですが、こちらもまたブラックではまともに休めなくなります。
年末年始やお盆などの長期休暇の日数減少や、今までは普通に取得できていた有給休暇の取得の拒否が平然と行われます。
会社によっては週休2日制の強引な廃止や祝日なども含めた休日を出勤日に変更したり、表面上は休日になっていても暗黙の了解や業務上の都合などを理由に、誰も休めない、休むことが憚られる仕組みを作り上げておくのです。
3.社員のモチベーションが下がり、人材が定着しなくなる
基本的な待遇が悪化するため、一般社員のモチベーションは非常に下がります。
能力や向上心のある社員、高給や好待遇を求める社員は転職を模索し、新入社員が来ても待遇の悪さに愛想を尽かしたり、キャリアを積んで他社に移ったりと、社員の定着率の悪化へと繋がっていくでしょう。
こうして人材不足がさらに加速します。
4.経営者が好き勝手にふるまい、社内の雰囲気が悪くなる
経営者が絶対的な権力を手にしているため、社内の人間は常に経営者やその側近の顔色を窺うことになり、社員同士の間に緊張が発生します。
経営者たちに取り入って出世を狙う社員がいたり、経営者が自分たちに不満を持つ社員の密告などを奨励している場合などはさらに深刻で、周囲の人間全てが敵かのような疑心暗鬼に陥ります。
こうなっては報連相どころか上司と部下、部署ごとのまともな対話や連携すらままならなくなり、社内の雰囲気が荒れ果てていくのです。
ホワイト企業がおかしな方向に進み始める時に出す4つのサイン
ここからは具体的にホワイト企業がおかしくなっていくサインを4つ挙げていきます。
元々がどれほど健全であってもこれらが複数起きた場合は、会社が黄信号になっていると思った方がいいでしょう。
1.経営者が交代する
これには2つのパターンがあり、個別に説明します。
第三者が会社を買収
まずはM&Aにより第三者が会社を買収した場合です。
どういうことかと言うと買収した会社が元々社員を軽んじる気質だったり、そもそも買収先の会社の資産、ノウハウや技術などが目当てで会社を経営する気を持たないケースです。
既存の社員との対立が発生したり、後者の場合は最終的には買収先の会社を解体するつもりなので社員にとってはたまったものではありません。
子供や兄弟が経営者に就任
もう1つは経営者の引退や逝去により、経営者の子供や兄弟が経営者に就任した場合です。
特に後継者に経営者としての能力が欠けていたり、元々の会社や業種の勤務経験がなかったり、売上や数字、根性論や理論ばかりを優先していて現場や職場環境を理解する気がない場合は、こちらもまた社員にとって最悪の環境へ変貌します。
具体的にはやはり以前の経営者を知る社員の反感を買ったり、新しい経営者がベテランを意図的に冷遇したり、逆に能力のない社員を自分に従うからという理由だけで厚遇するなどして、かつての雰囲気は見る影もなくなってしまいます。
2.赤字が続いているわけでもないのに給与やボーナスのカットを始める
普通ならば社員の給料を減額する・昇給やボーナスを抑制するというのは、会社の経営状態の悪化を疑うべきことです。
しかし新事業の展開や大した赤字もないのにそういった行動に出るということは、経営者が社員にお金を出すのが惜しくなり始めたということに他なりません。
これで本当に赤字が続こうものなら社員の給料をさらに減らすのが目に見えています。
普通の会社や経営者ならば社員の給料を容易く下げることのリスクを理解しているので、ここに手を付けること自体、会社が正常な経営判断能力を失っている証明だと言えるでしょう。
3.幹部や中間管理職の退職が相次ぎ、人材の補充もされない
経営陣に近いほど経営陣の方針や意見の変化は感じやすくなるものです。
その彼らが何人も退職に向けて動くということは、経営陣と幹部や中間管理職との間に深刻な不和が発生した可能性があります。
また幹部に限らず一般社員の退職に関しても注意が必要で、人数が減れば当然残っている人員の負担が増えるために社員の補充や配置転換などが必要であるにもかかわらず、社員の訴えに耳を貸さないこともありえます。
現場の軽視やコストカットが理由で会社が意図的に人材不足を放置しているかもしれません。
4.外部から素性のよくわからない人間を幹部やコンサルタントに迎える
もちろん社外から幹部やコンサルタントを迎え入れること自体は何もおかしくありません。
その分野で業績を上げた人間を要職や相談役に迎えることは大企業でもよくあります。
しかし別段名前も知られていない、その仕事で大きな成果を出したわけでもない人間を会社が迎え、その後に上記の現象が起こっている場合はかなり注意が必要でしょう。
なぜなら経営者が会社に招きたい人物というだけで能力が伴っていない、社員を締め付けることで人件費を浮かせようと画策するタイプの人物だったりすると、上で挙げた待遇悪化や人材の離脱が発生し、さらに残った社員を絞り上げていく悪循環となる可能性が高いからです。
まとめ
今回はホワイト企業がブラック企業に変わってしまうと起こることとそのサインをまとめました。
いかに安泰な会社でも、この早い時代の流れで、いつ経営者が甘い誘惑に駆られて一見楽な道を選ぼうとするかわかりません。
会社視点から見ると、確かに売上を伸ばすよりも人件費を絞る方が楽なのです。
しかし楽なのは一時的なものであり、将来的には経営者にとっても従業員にとっても安定とは程遠い未来が待っています。
この記事を読んだ方は、会社に不審な前兆が見えたのならば、どうか早めの判断をお願いします。